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雪かきにおける時間と化石燃料のせめぎあいについて

池田町の暮らし

2025年、1月。
今年も、雪が降りました。
冬にしか更新されない気がするこのブログですが、
カフェお休みのこの期間しか時間がとれないんだもの、という言い訳のもと、
この時期ばかりの更新になってしまいます。

ココラカラのある福井県池田町では、
これくらいの積雪で、ようやく通常の冬らしい景色となります。
同じ福井県でも、お隣の市に行くと、どこにも雪がない。
町外の人からは、「やっぱり池田は(積雪の程度が)違うのう」なんて言われてしまうのが、この町なのです。
そんな”まち”の人達の声に、「そうでしょう、やっぱり池田町は、雪が、ねぇ」なんて
得意げなのか自虐なのかよくわからない返答を返すわけなのですが、いち生活者としましては。

朝、お店の玄関を開けると、この景色。
一晩で膝上以上の雪が積もることは、よくあることで、
家から出られない。

『仕方がないので、どこにも行きません。おうちにずっといますね!』と
ぬくぬくお布団に戻れれば、こんなに幸せなことはないのですが、

郵便物や宅配便の方がたどり着く前に遭難してしまいます。
そして何より、ご宿泊や焼き菓子受け取りのお客様がいらっしゃる。
(もちろん大歓迎なのですよ!)

「やはり、積雪量が多いことは、何の自慢にもならないのではないか・・・」と打ちひしがれながら、
完全防水防寒ウェアーに身を包み、
緑の鉄製のスノーダンプで、せっせと己の通り道を作るところから始めます。

スノーダンプとはこのような道具。雪をのせて運搬する除雪道具です。

プラスチック製、アルミ製、鉄製など、様々な素材のものがあるのですが、
池田町においては、手動の雪かきの場合、鉄製の緑の、これ一択です。(店主の主観です)

雪は、降り始めはさらさらですが、日中の気温で溶けて、夜間に凍結して、を繰り返すうちに、
巨大な氷の塊になっていきます。
そこに突き刺すかたちで除雪をしていくので、鉄の強度でなければ、途端に割れてしまいます。
生半可な道具では、ひとたまりもない。選ばれし雪に打ち勝つ武器が、こちらなのです。

しかし、これはあくまでも、手動で雪をどけていく場合。
このスノーダンプで10メートルほどの歩道を作るのに、30~40分ほどかかるでしょうか。

歩道が出来たころには、息もあがり、汗ばむほどの運動になります。
多くの町民は、こんな体力も時間も奪われる手段だけで、冬を乗り切ってはおりません。

除雪機です。
家庭用の除雪機で、開店する刃で雪をかきとり、上部から雪をしゅぱぱぱと吹き出します。
ゆっくりと押すだけで、地面が見えるほどに除雪をしてくれるこの機械は、
5分ほどで10メートルほどの歩道を作り出してくれます。

体力も、時間も、奪われない。
仕上がりの差も、歴然としています。

写真右手が除雪機(オットが操作)によるもの、
写真左手、まだ雪があるようにも思える仕上がりが、スノーダンプ(店主操作)によるものです。
なんなのでしょうか、このもやもやとした気持ちは・・・。

店主が真っ先に起きだして、汗をかきかき開拓した道を、
約30分後にオットが悠々と通って除雪機が格納された車庫まで行き、
除雪機であっさりと道を作ってしまった。
といった事情とは違うもやもやが、(これはこれでスッキリとしないのですが)
店主の胸の中には広がるのです。

ただ、雪をどけて、人や車が停まれる空間を作るというだけ。
汗をかき、体力も時間も消費する必要はどこにもないはずで、
除雪機の方が圧倒的に効率的です。

しかし、その除雪機を動かすガソリン、化石燃料は、
遠い国から海を渡りやってきて、私たちが隣の市までガソリン車で買いに行って手に入れたもの。

この効率を得るために、どれほどの人の手、時間、経済が動いたのだろうか。
こんな小さな農山村の、小さなカフェと宿のために。

もちろん、お店を雪で埋めるわけにはいかない。
けれど、この効率が、化石燃料の高騰する社会で、あと何年続けられるのだろうか、と。
自給自足(全くそこには到達していないけれど、の、ようなもの)を実践しようとする身として、
こんな小さなもやもやが、日々のあちこちにあるのです。

このもやもやを振り払いたくて、
店主はつい、一日数時間も、鉄でできた緑の相棒とともに、
息をあげて、雪中エクササイズに励んでしまうのかもしれません。

そして、ココラカラの看板は、雪に埋もれそうなのでした。
こんな話をしながらのエクササイズ、よければ一緒にいかがでしょう?笑

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